ポコ 若林。 八木良

5分でわかる『ドグラ・マグラ』?読んだら気が狂う?【あらすじと解説】

今では科学理論としては否定されている(と言うかあんまり役に立たない)のですが、胎児の発生過程を見ると、進化の過程に沿ってその形が、単細胞の受精卵から、魚のようになり、トカゲのようになり、獣のようになり、人のようになるのは、印象としてはその通りです。 その怪事件の前後を一貫して支配している精神科学の原理が、如何に恐るべきものであるか。 そう思えば思うほど高まる呼吸の音が、 凩 ( こがらし )のように深夜の四壁に反響するのを聞いていた。 「……ところでその正木先生が、生涯を 賭 ( と )して完成されました、その実験の前後に関するお話を致しますに 就 ( つい )ては、誠に恐縮で御座いますが、かく申す私の事を引合いに出させて頂かなければなりませぬので……と申します理由は、ほかでも御座いませぬ。 やがて死ぬかと思うほど 喘 ( あえ )ぎ出した。 今朝、暗いうちに起った不可思議な、恐ろしい出来事の数々を、キレイに忘れてしまっていた私は、そこいら中が変に 剛 ( こわ )ばって痛んでいる身体を、思い切ってモリモリモリと引き伸ばして、力一パイの大きな 欠伸 ( あくび )をしかけたが、まだ充分に息を吸い込まないうちに、ハッと口を閉じた。 正木教授は研究のためと頭がおかしくなるようなことをし続けてきたり、私を「お兄様」と呼んで慕う妹は終始泣いていたりと、主人公にとって苦難の1日が幕をあけます……。

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古田新太がよく行くお店!三軒茶屋にあるイタリアンの店「Poco(ポコ)」

その混凝土壁の向側から、奇妙な声が聞えて来たからであった。 若林博士は私に、私自身の過去の記念物を見せる約束をしたその手初めに、まず私に、私の過去の姿を引合わせて見せたのだ。 当科 ( ここ )の主任の正木先生が亡くなられますと間もなく、やはりこの附属病室に収容されております一人の若い大学生の患者が、一気 呵成 ( かせい )に書上げて、私の手許に提出したものですが……」 「若い大学生が……」 「そうです」 「……ハア……やはり退院さしてくれといったような意味で、自分の頭の確かな事を証明するために書いたものですか」 「イヤ。 「…… 御尤 ( ごもっと )もです。 その廊下の突当りに「出入厳禁……医学部長」と筆太に書いた白紙を貼り附けた茶褐色の扉が見えた。 その上で前後の事実を 照合 ( てらしあわ )されましたならば、私の申します事が、決して誇張でありませぬ事実を、 御首肯 ( ごしゅこう )出来る事と信じます。 ……もしかしたら……その怪事件の真犯人というのが私自身ではあるまいか。

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夢野久作 ドグラ・マグラ

そうして正木先生と私とが、この二十年の間、心血を傾注して参りました精神科学に関する研究が、同時に公表され得る機会を与えて頂ける事に相成るので御座います。 息も切れ切れに……殆ど聞き取る事が出来ないくらい悲痛に深刻に高潮して行った。 その時に何やら赤い表紙の洋書に読み耽っていた若林博士は、パッタリと 頁 ( ページ )を伏せて立ち上った。 その声のあたりと思われる青黒い 混凝土 ( コンクリート )壁に 縋 ( すが )り付いた。 極めて荘重な足取で、半歩ほど前に進み出て、 恰 ( あた )かも神前で何事かを誓うかのように、両手を前に握り合せつつ私を見下した。

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Pizza Stand Poco 若林店(地図/写真/三軒茶屋/ピザ)

そうして私の頭の中は、いつの間にか又、もとの 木阿弥 ( もくあみ )のガンガラガンに立ち帰って行ったのであった。 私がウッカリ返事でもしようものなら、それが大変な間違いの 原因 ( もと )にならないとは限らないではないか。 その又肖像写真の左側には今一つ、隣りの部屋に通ずるらしい扉が見えるが、それ等のすべてが、 清々 ( すがすが )しい朝の光りの中に、 或 ( あるい )は 眩 ( まぶ )しく、又はクッキリと照し出されて、大学教授の居室らしい、厳粛な 静寂 ( しじま )を作っている光景を眺めまわしているうちに、私は自から襟を正したい気持ちになって来た。 ……けれどもその声は、まだ声にならないうちに、 咽喉 ( のど )の奥の方へ引返してしまった。 この部屋で正気を回復すると同時に、ホッとする間もなく、襲いかかって来た自己忘却の 無間 ( むげん )地獄……何の反響も無い……聞ゆるものは時計の音ばかり……。

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5分でわかる『ドグラ・マグラ』?読んだら気が狂う?【あらすじと解説】

私はガックリと 項垂 ( うなだ )れた。 一人ポッチでここに居る……お兄様は妾をお忘れになったのですか……」 「お兄様もおんなじです。 私はボンヤリとこう思って、両手で眼の 球 ( たま )をグイグイとコスリ上げた。 しかし、その時の私は、そんなデリケートな計略にミジンも気付き得なかった。 モウ結構です」 と云ううちに両手を烈しく左右に振った。

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ZENT若林店

自分の過去の真実の記憶として喚び起し得るものはタッタ今聞いた……ブウウン……ンンン……という時計の音一つしか無いという世にも不可思議な痴呆患者の私ではないか。 慌てて外套のポケットに手を突込んで、白いハンカチを掴み出して、大急ぎで顔に当てた。 これは21世紀の現代の科学に照らしても、とんでもない的外れではありません。 ……それがチャント生き返って……お墓の中から生き返ってここに居るのですよ。 モウ一度、顔を撫でまわしてみた。

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5分でわかる『ドグラ・マグラ』?読んだら気が狂う?【あらすじと解説】

精神病棟の中にいるのですが、自分の過去をすっかり忘れているばかりでなく、名前も思い出せません。 私はその瞳の力に 圧 ( お )されて、余儀なく 項垂 ( うなだ )れさせられた……又も何となく自分の事ではないような……妙なヤヤコシイ話ばかり聞かされて、訳が 判然 ( わか )らないままに疲れてしまったような気持ちになりながら……。 つまるところ正木先生と私と二人の共同の事業といったような恰好で……。 しかもその因縁のお話と申しますのは、私一個の考えで前後の筋を纏めようと致しますと、全部が 虚構 ( うそ )になって 終 ( しま )う 虞 ( おそ )れがありますので…… 詰 ( つま )るところそのお話の筋道に、直接の体験を持っておいでになる貴方が、その深刻不可思議な体験を御自身に思い出されたものでなければ、誰しも真実のお話として信用する事が出来ないという……それほど左様に幻怪、驚異を極めた因縁のお話が貴方の過去の御記憶の中に含まれているので御座います……が 併 ( しか )し……当座の御安心のために、これだけの事は御説明申上ても差支えあるまいと思われます。 世界中にタッタ二人の妾たちがここに居るのです。

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ZENT若林店

その小男は頭をクルクル坊主の五分刈にして、黒い八の字 髭 ( ひげ )をピンと 生 ( は )やして、白い 詰襟 ( つめえり )の 上衣 ( うわぎ )に黒ズボン、古靴で作ったスリッパという見慣れない 扮装 ( いでたち )をしていた。 つまり若林博士は、私の入院前の姿を、細かいところまで記憶していたので、その時の通りの姿に私を復旧してから、突然に私の眼の前に突付けて、昔の事を思い出させようとしているのに違いなかった。 やり切れない。 そうして、あべこべに私の姿をジリジリと見下し初めたので、私は何故となく 身体 ( からだ )が縮むような気がして、自ずと 項垂 ( うなだ )れさせられてしまった。 ……しかも、その後任教授がまだ決定致しておりませず、適当な助教授も以前から居ないままになっておりました結果、総長の命を受けまして、当分の間、私がこの教室の仕事を兼任致しているような次第で御座いますが……その中でも特に大切に、全力を尽して御介抱申上げるように、正木先生から御委托を受けまして、お引受致しましたのが、 外 ( ほか )ならぬ貴方で御座いました。 すぐにも返事をしてやりたい……少女の苦しみを助けてやりたい……そうして私自身がどこの何者かという事実を一刻も早く確かめたいという、タマラナイ衝動に駆られてそうしたのであった。 次の方法を試みてみますから……。

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